慣性力
慣性力は物体と一緒に運動している人からみたときに、運動の方向とは逆方向にはたらくように見える、見かけの力である。
慣性力の大きさと向き
たとえば等加速度運動をしている電車の天井に単振り子をつるした場合、電車の中にいる人から見るとこの振り子のおもりは電車の運動とは逆方向に傾いて静止して見える。
このとき加速の方向とは逆方向におもりにかかっているように見える見かけの力を慣性力といい、電車の加速度とは逆の方向にはたらくので、慣性力の大きさはとあらわされる。
遠心力
たとえば軽い糸の上端を天井に固定し、下端に質量のおもりをつるして、水平面で等速円運動させる(円錐振り子)。このとき、おもりと一緒に観測者も等速円運動しているとすると、この観測者から見るとおもりは静止しており、向心力(糸の張力の水平方向の分力)と外向きの力がつりあっているように見える。この見かけの外向きの力を遠心力という。すなわちこのとき遠心力と向心力はどちらも同じ大きさで、その大きさは
や
であらわされる(向きは逆方向である)。
見かけの重力
たとえば加速度で等加速度運動をしている電車の天井に単振り子をつるした場合、電車の中にいる人から見るとこの振り子のおもりは電車の運動とは逆方向に傾いて静止して見える。この状態でおもりをつるしている糸を切ると、糸の張力がなくなり、おもりには重力と慣性力のみがかかった状態になる。この重力と慣性力の合力を電車の中の人から見た見かけの重力といい、その大きさは三平方の定理より
とあらわされる。なおこのとき、電車の中の人から見たみかけのおもりの加速度は
である。